急性期リハビリテーションに必要な役割とは?
〈急性期リハビリテーションとは?〉
僕が急性期病院に就職して1番始めに疑問を持ったのは、「そもそも急性期リハビリテーションとはなんだ?」でした。
その頃は、「術後や発症直後の患者の早期離床を図り、廃用症候群の予防をしていくこと」くらいの認識でした。
しかし、今では急性期リハビリテーションに携わるセラピストとして必要な要素はたくさんあることに気づきました。
なので、その中でも特に重要なことを今回まとめてお伝えしたいと思います。
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急性期リハビリテーションに必要な要素
先程も述べたように急性期リハビリテーションに必要な要素はたくさんあり、言い出したらキリがないので、その中でもより重要な要素として、、、
ⅰ.廃用症候群の予防
ⅱ.リスク管理
ⅲ.さまざまな疾患•病態の理解
の3つの要素を挙げます。
ではさっそく、これらの要素について順を追って説明していきたいと思います。
ⅰ.廃用症候群の予防
急性期リハビリテーションといえば廃用症候群の予防というイメージがあると思いますが、実際に臨床で何をすればよいかと聞かれるとなかなか答えが出てこないかと思います。
よく言われている通り、急性期リハビリテーションでは疾患の発症、術後早期からリスク管理をしながら積極的に離床していかなければなりません。
しかし、最近では在院日数の短縮が叫ばれているものの、単純に離床開始時期を早くすればよいという問題ではありません。
急性期医療では、救命と疾患の治療が優先されるますが、その中でもリハ医療は並行して行われるべきです。なぜなら、廃用症候群等の合併症を予防し、不用意な時間を費やすことなく、患者の退院後のQOLをも高める結果をもたらすからです。
急性期リハビリテーションの目的は、患者が早く高いレベルの状態に回復し、退院して社会復帰することです。
在院日数の短縮や医療費の抑制はその結果である大学病院や多くの急性期病院では、専門の科が集約的に治療に参加していますが、リハビリテーション科もその一翼を担っています。
急性期医療の一翼としてリハビリテーションを推進するためには、まずは廃用症候群の予防とそのための医療技術、さらに効果的な運用のための医療システムが必要です。
急性期には患者の状態が安定せず、リハの介入が困難な場合や禁忌の場合が多く、そのため主治医からの連絡が遅れたり忘れられたりするケースをよく経験します。
その不安定な状況下でリハビリテーションを実践するには、正確な状況判断やさまざまな疾患に対する病態の理解、評価ができる知識と技術などリスク管理能力が求められます。
また、それだけでなく主治医のみならず医療スタッフの一人ひとりが廃用症候群を出さないという意識を持ち、セラピスト以外のスタッフでも可能な限りリハ的行為を行うことも効果的であり、重要です。
ⅱ.リスク管理
近年、リスクマネジメントへの取り組みが臨床現場を中心に積極的になされてきており、その中でリハビリテーション部門においても、急性期患者の増加、多様な合併症を持つようなハイリスク患者が増え、医療事故の防止を主な目的としたリスク管理の徹底が重要視されてきています。
リスクマネジメントは「患者の立場に立ち,安心して医療を受けられる環境を整えること」であり、適正な医療の提供とその過程における安 全確保は、医療の質に関わる重要な課題であります。
リスクマネジメントの意義としては「医療の質」と「患者の安全」の保証による患者の身体的保護、医療者の法的保護、医療機関の経営的保護にあります。
すなわち、安全管理システムの構築により診療上の事故発生を最小限に抑えることで「医療の質」を保ち「組織としての損失」を防ぎ、「患者の安全」と「医療者の安心」を確保することが可能となるのです。
リハビリ実施中に起こる可能性のある事象としては、、、
①全身状態の悪化(訓練中の急変、感染など)
②院内感染
③転倒・転落・骨折
④医療行為に起因する外傷、熱傷など
⑤点滴チューブ・留置カテーテルなどのはずれ
⑥誤嚥や窒息・嘔吐
⑦患者の取り違え
⑧離院・離棟
⑨患者同士のトラブルによる身体的・心理的アクシデント
⑩病名・経過・リハ目標・リスクなどの説明不足
などが挙げられます。
これらは留意しておくのが当たり前のことであり、最低限必要な項目ではありますが、どこの病院でも起こりうる項目です。
だからこそ、セラピスト一人ひとりの認識が上述したとおり、患者としても組織としても重要となってきます。
そのほかにも、リハビリ中止基準や疾患ごとのリスク管理、検査データの読み取りや解釈など急性期リハビリテーションに必要なリスク管理項目はたくさんあります。
それらについては今後、順を追って説明していきたいと思います。
ⅲ.さまざまな疾患•病態の理解
急性期病院では脳血管障害や整形外科の疾患だけでなく、呼吸器、循環器、消化器などの内科系の疾患が深く関わってきます。
そのため、それぞれの疾患の深い知識も必要だが、幅広い疾患への病態の知識が必要となります。
また、内科系の疾患についてはリスク管理とも繋がっているため、重要となってきます。
(例えば、バイタルサインでいえば血圧や脈拍などは循環器、呼吸数やSpO2などは呼吸器)
他にも循環器系では心不全や動脈硬化で脳卒中のリスクが高くなりますし、重度の脳卒中であれば呼吸器管理が必要となることも多々あります。
リスク管理が重要とされる急性期ではそれぞれの疾患がさまざまな形で関連し合っており、病態理解は絶対に欠かせないものとなっています。
以上、、、
このブログではまず、リスク管理、病態理解などの急性期に必要なことを具体的に載せていければと思います!
もし回復期、維持期との違いについて気になる方がいましたら下記が参考になると思います。